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遷延性咳嗽(3 週間〜8 週間続く咳)について

2020年4月21日

  • 遷延性咳嗽(3 週間〜8 週間続く咳)について

  • 1. 3 週間以上続く咳は「体からの異常のサイン」です

    咳が出始めて 3 週間が経過しても治まらない場合、それは単なる「風邪の名残」ではないかもしれません。 この時期(3〜8 週間未満)の咳を遷延性咳嗽と呼びます。ウイルスなどの感染症自体は治っていても、気道(空気の通り道)に炎症が残っていたり、別の病気が隠れていたりする可能性が高まります。

    2. 遷延性咳嗽の主な原因

    診断には原則胸部レントゲン検査が必要になります。
    胸部レントゲンに目立った異常がなく、この時期に考えられる代表的な原因は以下の通りです(レントゲンに異常のある呼吸器疾患は多岐にわたります)。
    感染後咳嗽(かんせんごがいそう):風邪などの後に気道が敏感になり、咳だけが残る状態です。
    咳喘息(せきぜんそく): ゼーゼーとは言わないものの、咳だけが続く喘息の仲間です。放置すると本格的な喘息に移行することがあります。
    アトピー咳嗽: アレルギー体質が関連した、喉のイガイガ感を伴う咳です。
    百日咳(ひゃくにちぜき): 大人でも感染し、激しい咳が⻑く続くのが特徴です。
    副鼻腔気管支症候群: 鼻炎、副鼻腔炎があり鼻水が喉に流れることで咳が誘発されます。痰がらみの咳になります。

    3. 当院で行う専門的な検査

    3 週間以上咳が続く場合は、原因を特定するために専門的な検査をご提案します。
    胸部レントゲン検査: 結核や肺がん、心不全など、見逃してはならない重大な疾患がないかを確認します。
    呼気 NO(一酸化窒素)検査: 吐く息の中に含まれる NO の濃度を測定し、気道の「アレルギー性の炎症」の有無を数値化します。咳喘息の診断に非常に有効です。
    呼吸機能検査(スパイロメトリー):肺活量や空気の通り道の狭さを測定し、喘息などの傾向や肺活量の低下がないか調べます。
    血液検査: 体内の炎症反応(CRP)の程度や、百日咳などの特殊な感染症の抗体価、アレルギー体質の指標となる IgE 抗体などを調べます。
    胸部 CT 検査: まずは院内でレントゲン撮影を行いますが、さらに詳細な評価が必要と判断した場合には、近隣の提携病院にて CT 検査を依頼し結果を評価いたします。

    4. 治療のポイント:原因に合わせたお薬

    「咳止め」の薬は咳の治療の根本解決にはなりません。咳止めを飲んでも治らないという方の多くは、治療が必要な呼吸器疾患の可能性があります。
    吸入ステロイド薬: 咳喘息などが疑われる場合、気道の炎症を直接抑える吸入薬が非常に効果的です。
    抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬): アレルギーが関与している場合に処方します。
    抗菌薬治療: 副鼻腔気管支症候群(鼻水が喉に回って咳が出る状態)などが疑われる場合、原因菌や炎症に合わせた適切な抗菌薬(マクロライド系など)を処方します。
    漢方薬: 喉の乾燥や違和感が強い場合、症状を和らげるために併用することがあります。

    5. ご自宅での過ごし方と注意点

    ⻑引く咳は体力を消耗させます。以下の点に注意して過ごしましょう。
    「咳の記録」と増悪因子の確認:⻑引く咳の診断において、患者さんからの情報は最大のヒントになります。
    • いつ、どんな時に咳がひどくなるかをメモしてみましょう。
    (例:冷たい空気に触れた時、夜寝る前、会話をしている時、食事をしている時、臥位になった時、運動した時、湯気にあたった時など) これらは「増 悪因子(ぞうあくいんし)」と呼ばれ、原因疾患を特定する重要な手がかりになります。
    寝具を清潔に: ダニ、ホコリやペットの毛が咳の原因になることもあります。枕カバーやシーツをこまめに洗濯し、寝室の環境を整えてください。
    温度差と乾燥の回避: 急激な温度変化は気道を刺激します。外出時のマスク着用や、室内での適切な加湿(50〜60%)を継続してください。
    刺激物の除去: タバコの煙や強い香料などは、敏感になった気道をさらに刺激します。できるだけキレイな環境を保ちましょう。